大阪の庶民の味に粉もの文化があります。お好み焼き、たこ焼き、とん平焼き、明石焼きと子供のおやつレベルから、昼飯のオカズ(炭水化物でも)、居酒屋でのメニュー含めて購買層は多岐にわたりますが、実際の店舗数はどのくらいなのでしょうか。お上が実施する経済センサスには、なんと「お好み焼・焼きそば・たこ焼店」で細分類されています。はてはて都道府県の2020年の人口データも使い、10万人あたりの数を比較してみました。
算出方法
平成28年(2016年)に実施され、平成30年(2018年)に公開された経済センサスデータを使います。具体的には、「平成28年経済センサス‐活動調査 事業所に関する集計-産業別集計(サービスB)」のデータとなります。その中から「産業細分類」の中に、「76F お好み焼・焼きそば・たこ焼店」だけを抽出して、都道府県別のデータの事業者数(個人・法人)をを抽出・整理してみました。さらに人口10万人あたりの事業者数にて順位をつけてみようと思います。総務省統計局のサイトで公開されているデータがベースになっています。またお馴染みのBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)のTableauを使って整理します。
結論:1位-広島県、2位ー兵庫県、3位ー徳島県
トップはなんと広島県、しかもぶち抜きの1位です。2位との差がとても広いです。4位は高知県、当初1位だと思っていた大阪府は5位でした。いずれも西日本地域の比率が高いです。トップ5位のうち、瀬戸内海に面している4県、1府もあります。
10万人あたりの店舗数10で青系色から赤系の色へ変わる設定をしていますが、平均値としては20くらいです。この図を見ますと、瀬戸内海の府県及び四国がとりわけ高いことがわかります。逆にその他の地域はめっきり低い数値で、関東以北の地域は、そして沖縄県は非常に少ないことがわかります。
ワースト3位:沖縄県、岩手県、宮城県
考察
あくまでも一般人の感想めいた内容のレベルにとどまります。
上位層
広島県が圧倒的なトップです。もともとお好み焼きそのものは戦前から駄菓子屋さんで子供のおやつ程度だった粉もん料理「一銭洋食」ではありましたが、戦後から広島県で多くお好み焼き屋さんが林立した背景には諸説あり、
- 家の軒先で手軽に始めることができる
- 戦後の米軍からの配給に小麦が多くあった
- 広島県界隈には鉄を扱う会社が多くあり、鉄板入手が他県と比べて容易だった。(東洋一の軍港だった呉がありましたし、必然的に鉄を扱う関係会社が多かったのかもしれません)
お好み焼き屋さんを開業するにあたってのハードルの低さが多かったのかもしれませんね。小麦といってもパンや麺にするのもひと手間ですが、水に溶いて焼けば簡単ですしね。
具材でいえば、小麦、野菜、ソースがあれば、最低限のお好み焼きができますので、それらの調達に便宜が良かったのでしょうね。広島といえば、「オタフクソース」さんの本社もありますしね。
兵庫県が2位ではありますが、兵庫県の理由は何なのか、ちょっとわかりません。ひょっとして明石焼きのお店が「76F お好み焼・焼きそば・たこ焼店」にも入ってるのか、兵庫県も大阪同様にお好み焼きが多い地域なのでしょうか。
3位の徳島県は第2位の兵庫県、第5位の大阪府と瀬戸内海を挟んで隣接していますが、やはり粉もの文化の地域なのでしょうか。。。このあたり私はまったく知見なく、出身者の方にも聞いてみたいところです。お好み焼き・たこ焼き・焼きそば、まとめて提供するお店もあれば、たこ焼きだけのお店もあります。私の感覚では、お好み焼き・焼きそばやたいてい同じお店で提供されることが多いような気がします。お好み焼きだけ、やきそばだけ、というのはかなり少ないかと思います。
一方で、たこ焼き屋さんはそれこそ、たこ焼きに絞って扱っているお店を大阪では散見されます。もちろん、お好み焼き・焼きそばも扱ってるお店もありますが、それでも経営が成り立つのは美味しのはもちろんですが、地域の方々の好みもあるのでしょうね。
うだうだ書きましたが、結局のところ何も考察できておらず、すいません。
下位層
ワースト3位は沖縄県、岩手県、宮城県です。沖縄県や沖縄そばが有名ですし、岩手県、宮城県などをはじめ関東以北はどこも少ないです。決してお好み焼き・たこ焼き・焼きそばなどを食さない地域ではないかと思いますが、単独で経営が成り立つほどメジャーな食べ物ではないのかもしれませんね。そこへいくと関西(とりわけ瀬戸内海や四国)は粉もの文化が色濃いのでしょうかね。稲作もそうですが、小麦も他地域よりも多く生産しているのも何かあるのでしょうか。。。だとすると小麦生産量トップの北海道はどうなる(まぁ、広大な北海道を他の都府県と同様に扱ってはいけないのですが)
縦を順位を横軸を10万人あたりの店舗数のグラフは以下の通りです。広島県のぶち抜き度と上位と下位の乖離がすごいです。トップの広島県とボトムの沖縄県とでは10万人あたりのお店の数は20倍も差ががあります。
一覧
人口は2020年の国勢調査時のそれを使っており、10万人あたりの店舗数トップの広島県から降順に並べています。
都道府県 | 人口_2020 | 事業者数 | 10万人あたり店舗数 |
広島県 | 2,799,702 | 1,375 | 49.11 |
兵庫県 | 5,465,002 | 1,511 | 27.65 |
徳島県 | 719,559 | 174 | 24.18 |
高知県 | 691,527 | 166 | 24.00 |
大阪府 | 8,837,685 | 2,115 | 23.93 |
愛媛県 | 1,334,841 | 248 | 18.58 |
和歌山県 | 922,584 | 171 | 18.53 |
岡山県 | 1,888,432 | 323 | 17.10 |
京都府 | 2,578,087 | 439 | 17.03 |
香川県 | 950,244 | 147 | 15.47 |
奈良県 | 1,324,473 | 194 | 14.65 |
山口県 | 1,342,059 | 171 | 12.74 |
三重県 | 1,770,254 | 203 | 11.47 |
岐阜県 | 1,978,742 | 221 | 11.17 |
石川県 | 1,132,526 | 125 | 11.04 |
愛知県 | 7,542,415 | 768 | 10.18 |
福井県 | 766,863 | 71 | 9.26 |
福岡県 | 5,135,214 | 468 | 9.11 |
静岡県 | 3,633,202 | 329 | 9.06 |
島根県 | 671,126 | 59 | 8.79 |
富山県 | 1,034,814 | 90 | 8.70 |
長崎県 | 1,312,317 | 112 | 8.53 |
滋賀県 | 1,413,610 | 120 | 8.49 |
大分県 | 1,123,852 | 95 | 8.45 |
鳥取県 | 553,407 | 46 | 8.31 |
鹿児島県 | 1,588,256 | 131 | 8.25 |
熊本県 | 1,738,301 | 135 | 7.77 |
佐賀県 | 811,442 | 62 | 7.64 |
栃木県 | 1,933,146 | 133 | 6.88 |
宮崎県 | 1,069,576 | 69 | 6.45 |
群馬県 | 1,939,110 | 123 | 6.34 |
東京都 | ####### | 835 | 5.94 |
茨城県 | 2,867,009 | 132 | 4.60 |
千葉県 | 6,284,480 | 277 | 4.41 |
埼玉県 | 7,344,765 | 306 | 4.17 |
山梨県 | 809,974 | 33 | 4.07 |
新潟県 | 2,201,272 | 84 | 3.82 |
神奈川県 | 9,237,337 | 328 | 3.55 |
長野県 | 2,048,011 | 68 | 3.32 |
青森県 | 1,237,984 | 39 | 3.15 |
北海道 | 5,224,614 | 149 | 2.85 |
山形県 | 1,068,027 | 30 | 2.81 |
福島県 | 1,833,152 | 50 | 2.73 |
秋田県 | 959,502 | 24 | 2.50 |
宮城県 | 2,301,996 | 56 | 2.43 |
岩手県 | 1,210,534 | 27 | 2.23 |
沖縄県 | 1,467,480 | 32 | 2.18 |
関連サイト
本ページで、特に注釈がない写真は、私が撮影した写真となります。