ラーメン、スパゲティ、うどん、お好み焼き、たこ焼き、そのほか粉もの料理、小麦は米に次いで日々の私たちの主食の原材料になっています。もともとこの統計を調べようとしたのは、都道府県別のパン屋の店舗数に何か相関関係があるかどうかを調べたくなったからです。パンの店舗数もしくはパンの消費量にご当地で小麦の収穫高と関係性があるかどうかを確認してみようと思います。
以前、整理した都道府県別10万人当たりのパン屋店舗数については下記にまとめています。
上位の都道府県のうち、同様に小麦生産高が高い地域には何かの相関がありそうな気がしています。ちなみにデータは、農林水産省が調査して公開している、
「作況調査(水陸稲、麦類、豆類、かんしょ、飼料作物、工芸農作物)」、「令和元年産4麦の収穫量」、「2 麦類」、「(1) 令和元年産麦類(子実用)の収穫量(全国農業地域別・都道府県別)」、「イ 小麦」のデータを使っています。もともとWeb等でも事前に調べたのですが、私が調べた範囲内では平成30年度=2018年度までのものだったので最新の令和元年度=2019年度の資料にて確認しようと思いました。
麦というくくりには、小麦、二条大麦、六条大麦、はだか麦等ありますが、ここではパンの原材料として使われる小麦のデータを使っています。
【結論】福岡県が収穫高とパン店舗数の双方が上位ランキング
パン屋店舗数準備(10万人当たり)の上位県(10位以内)で、都道府県別小麦生産高の上位県は福岡県だけでした。福岡県は、トンコツの博多ラーメンでも有名ですが、うどんもまたよく消費する県民性があることから、収穫されている小麦がすべてパン向けというわけでもなく、ラーメンやうどんの麺の原材料としても使われている可能性があります。(もちろん輸入の小麦も原材料として使われているかもしれませんが)
店舗数上位県だった愛媛県、徳島県、長崎県、岡山県、京都府、大分県、山梨県、高知県、福岡県、石川県で、福岡県を除く府および県は収穫高という指標では関係性がないように思えます。
各都道府県で生産高が高いから、パン店舗数が多いとは限らないということがわかりました。
順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 割合 | パン屋店舗数順位 (10万人当たり) |
1 | 北海道 | 677,700 | 65.35% | 28 |
2 | 福岡県 | 68,900 | 6.64% | 9 |
3 | 佐賀県 | 46,200 | 4.45% | 20 |
4 | 愛知県 | 31,600 | 3.05% | 42 |
5 | 三重県 | 23,000 | 2.22% | 17 |
6 | 群馬県 | 22,900 | 2.21% | 11 |
7 | 埼玉県 | 22,600 | 2.18% | 35 |
8 | 滋賀県 | 20,800 | 2.01% | 30 |
9 | 熊本県 | 18,500 | 1.78% | 37 |
10 | 茨城県 | 16,200 | 1.56% | 36 |
11 | 岐阜県 | 11,600 | 1.12% | 39 |
12 | 岩手県 | 10,000 | 0.96% | 38 |
13 | 栃木県 | 9,340 | 0.90% | 25 |
14 | 大分県 | 8,900 | 0.86% | 6 |
15 | 香川県 | 8,860 | 0.85% | 13 |
16 | 長野県 | 6,850 | 0.66% | 27 |
17 | 山口県 | 5,320 | 0.51% | 15 |
18 | 宮城県 | 4,730 | 0.46% | 47 |
19 | 兵庫県 | 4,690 | 0.45% | 14 |
20 | 岡山県 | 3,660 | 0.35% | 4 |
21 | 千葉県 | 2,750 | 0.27% | 41 |
22 | 静岡県 | 2,400 | 0.23% | 22 |
23 | 長崎県 | 1,910 | 0.18% | 3 |
24 | 青森県 | 1,710 | 0.16% | 43 |
25 | 福島県 | 967 | 0.09% | 33 |
26 | 愛媛県 | 943 | 0.09% | 1 |
27 | 秋田県 | 841 | 0.08% | 46 |
28 | 広島県 | 351 | 0.03% | 31 |
29 | 奈良県 | 325 | 0.03% | 18 |
30 | 福井県 | 317 | 0.03% | 12 |
31 | 京都府 | 284 | 0.03% | 5 |
32 | 宮崎県 | 269 | 0.03% | 21 |
33 | 島根県 | 244 | 0.02% | 44 |
34 | 山梨県 | 242 | 0.02% | 7 |
35 | 山形県 | 233 | 0.02% | 45 |
36 | 鳥取県 | 204 | 0.02% | 40 |
37 | 石川県 | 172 | 0.02% | 10 |
38 | 新潟県 | 136 | 0.01% | 19 |
39 | 徳島県 | 129 | 0.01% | 2 |
40 | 神奈川県 | 120 | 0.01% | 34 |
41 | 富山県 | 80 | 0.01% | 29 |
42 | 鹿児島県 | 55 | 0.01% | 24 |
43 | 東京都 | 31 | 0.00% | 32 |
44 | 沖縄県 | 15 | 0.00% | 23 |
45 | 高知県 | 8 | 0.00% | 8 |
46 | 大阪府 | 2 | 0.00% | 26 |
47 | 和歌山県 | 2 | 0.00% | 16 |
個人的な感想
ここからは裏付け整理ができていない個人的な感想とメモです。後日また調べてみたい点などです。
・福岡県が第二位なのに改めてびっくりです。ラーメン、うどん、パンを食べる人が多いからでしょうか。主な生産地域は筑後平野あたりでしょうか。
・愛知県が第四位というのもびっくりです。どこで作っているのか気になります。
・北海道、北関東、中京なども多いですが、中国・四国は少ないように思えます。
・都道府県の中では最も面積が小さい香川県が、15位というのは大健闘でしょうか。パンというよりも、やはりうどん用でしょうか。四国の愛媛、徳島、高知県は10万人あたりのパン屋店舗数が多いですが、何か関係ありそうでしょうか。
・そもそも我が国の小麦自給率は2009年時点ではわずか14%のようです。それも国内生産の小麦は主に麺(うどん、ラーメン等)が主のようでして、そもそもパン用の小麦は輸入小麦が主とのことようです。日本製粉協会HPより。だとしたら、本項の調査そのものもあまり意味がなかったのでしょうか。。。(読んでくださった方、ごめんなさい。。。)
・米どころの県の代表、新潟県でも小麦を生産していることに驚きました。
・東京や大阪でも極小ではありますが、小麦をつくっていることにも驚きました。