今となっては時代劇くらいしか聞く機会がないのかもしれませんが、たまに会話の中で聞く時があります。時代劇では、例えば酒場で、「なんでぇ、あいつは!?」と愚痴をこぼす町人に対してご隠居さんが「ありゃ、〇〇長屋に住んでる大工のKinokoといって、まぁ、うだつのあがらねぇ野郎でさ・・・」と。。。はてはて、うだつってそもそも何でしたっけ?うだつが上がる良いことなのか、上がらないと甲斐性なしのようかのように聞こえます。大阪市の都島区、中央区界隈を自転車でふらついていると、たまたま、「これがうだつか!」とわかるような場所がありましたので、うだつの語源も含めて紹介できればと思います。
うだつとは?
そもそもうだつとは何でしょうか?下の写真でいうところのオレンジで囲った部分のことをさします。
もともと、隣り合う町屋で、防火壁の目的でつくられ、屋根の立ち上がりの部分のことです。これが商売がうまくいっているお宅の場合、だんだんと装飾的な観点でもお金をかけるようになり、裕福なお家の場合は、このうだつが立派なつくりや装飾になっていきます。
うだつがあがらない、とは意味としては、出世しない、おぼつかない、生活が向上しないといった意味あいで使われるようです。
今の表現でいうところの、しょぼいやつ、甲斐性なし、ぼんくら、といったあたりでしょうか。。。ぼんくらもすでに、かなり死語のような気がします。
梲が上がらない・卯建が上がらない(うだつがあがらない)
梲、初見ではなんと読むのかわかりません。 卯建 だとなんとなく読めそうですが、文字で読む機会よりも圧倒的に会話として聞く機会が多いので、漢字をいきなり書けといっても書けませんよね。これらも「うだつ」と読みます。昔は、うだちとも読んだそうですが、それらが転じて「うだつ」と読まれるようになったようです。
梲 の漢字そのものはこんな意味がありようです。
① 梁(はり)の上に立てて棟木(むなぎ)を支える短い柱。つか。うだつ。
精選版 日本国語大辞典
※書紀(720)仁徳元年正月(前田本訓)「桷(はへき)、梁(うつはり)、柱(はしら)、楹(ウダチ)藻(ゑかき)餝(かざ)らず」
② (「うだち」は妻壁だけにあったところから) 妻壁をいう。後世、妻壁を屋根より一段高くして家の格式を示したり、また、町家ではこれに袖壁をつけて防火用としたりしたが、それらをも称した。→卯建(うだち)
うだつのあるお宅があるということは、事業・商売がうまくいっていることの証でもあったわけですね。事業で成功した人が高級車や高級腕時計を買うのと同じような感覚だったのでしょうか。
妬み深い人はそういったことをあまり良しとしないかもしれませんが、個人的には、お金持ちにはどんどんお金を使ってもらうのはとても良いことだと思っています。それを見せびらかしても、お仕事上手くいっているんですね、ということで初見は貧乏人だとは思われないでしょう。(詐欺師はあえてそう思わせることを狙って、高価なものを身に着けるケースありますけど)
京橋界隈で見つけた「うだつ」のあるお宅
京橋駅の北口、京街道沿いのアーケード街を抜けます。西側に煙突を確認できます。その最寄りの建屋にうだつがあるのを気づきました。
もともと、私は煙突探しのため、上方面ばかり見て自転車運転(危険です。。。真似しないでください)していて偶然発見しました。
場所
地図そのものは、最寄りの銭湯ですが、この銭湯の北の建屋となります。
今に残る「うだつ」のあるお宅
大阪市中央区
大阪市中央区界隈にて、うだつのある建屋を運よく発見し、たまたま写真をおさめました。3階建ての町屋づくりで回りは近代的なコンクリートのビルですが、時代の流れに負けず、古い町屋が中央区にも残っています。
大阪市城東区
住宅や中小企業の社屋が混在してる中、野江にも同様にうだつのあるお宅がありました。屋根の構造と同じ三段になっており、その上には瓦があります。
北区菅栄町
最後に
うだつがあがる、装飾的なものにもお金をかける財力がある、余裕がある、の証でもあるように思えます。現代はうだつにとってかわるものは他にも多いですが、「うだつの上がらねぇ野郎め」とかは言われれないよう、仕事や生活に努力や工夫を重ねていきたいと思います。
日々あるく街並や近所であっても、たまに視線を変えるだけでも色んな発見があり、街を歩くのが楽しみになります。もしこのブログを読んだ方が、最寄りにうだつのある町屋を発見することができたら嬉しく思いますし、もしあったら教えていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。