井路舟展示:大阪モノレール南摂津駅

大阪西部にかつては水運用の運河、井路川(いじがわ)が多くありました。当時の舟をどこかで見れるところはないものか、と探したところありました。大阪西部の井路川地域はもともと低湿地で標高低いところで使われていた井路舟は、なんと現在大阪モノレール南摂津駅内の展示されています。駅の高さはビルの高さ3階から4階くらいの高さです。南摂津駅界隈は北に安威川、南に淀川と、細長い島のようなところです。このあたりはかつて洪水の被害が多く、農業の水運に寄与した井路川は洪水・水害時でも役立ったことがわかる説明書きがありました。役目を終えた井路川の多くは、埋め立てられ、もしくは暗渠化(蓋をされた水路)されるか、わずかな水だけを溜める程度になっています。緑道や公園になっているところも多いです。

場所

2021年3月末平日20時頃の南摂津駅

大阪モノレールの南摂津駅は、モノレール駅としては単独ですので、公共交通機関で向かう場合は、最寄りで乗り換えする必要があります。梅田からの行き方を例にすると以下の2ケースです。南摂津駅周辺はとりたてて、目立つようなところは少ないですが、モノレール駅開設により、毎年少しづつ利用者数が伸びています。周辺に集合住宅が少しづつできているからでしょう。

谷町線-大日で乗り換え:約35分 530円

谷町線の端っこの駅は大日です。またモノレールの東側で最も端となる駅も大日です。地下から高架のモノレールの移動は高低差ありますが、乗換はしやすいかと思います。

阪急京都線-南茨木で乗り換え:35分 560円

大阪梅田から阪急京都背の場合は、南茨木でモノレールに乗換となります。

井路舟の展示

改札のある階に、井路舟が展示されています。駅員さんに撮影許可を頂いたのち、私が色んな角度で撮影したり、長さ・幅を測っている際も多くの乗客が通り過ぎていますが、足をとめる人はいません。(皆さん日々通っていますから、わざわざ足をとめる必要ありませんからね。)

ただ、舟を展示というわけではなく、井路舟が果たした役割の説明書き、白黒レベルですが、当時の写真もあります。

展示されている井路舟の写真

この舟は、長さが7mから8mほどあります。幅も1mほどありました。

展示物は地域の博物館から貸与品であることを示すコードが降られています。米俵はわかりやすいですが、もう一つの柄の長い塵取りのようなものの詳細な用途については、勉強不足ゆえにわかりませんでした。(調べます、はい)

舟の最も後ろ側には何やら目印といいますか、紋のようなものがあります。これについても、調べます。。。

その脇にある説明書きには以下のような説明文があります。

「井路と井路舟」

摂津地域の湿田地帯には、井路(「いじ」または「いろ」)と呼ばれる水路が多数堀り巡らされていました。これらの井路は、湿田の米づくりには欠かせないもので、どちらかと言えば用水の供給よりも排水に大きな役目を果たしていました。井路には井路舟が浮び、農道を行く軽トラのように、肥料や刈り取った稲などを運んでいました。また井路舟は、淀川堤防の決壊などによる洪水時の避難にも欠かせないもので、鳥飼や一津屋などの低湿地では、大切な家財道具でした。井路と井路舟、それはかつての湿田地域農業村の典型的な風物でした。

説明プレート

井路舟に関する説明プレートには白黒ですが、写真も紹介されています。昭和28年、1953年時の大きな水害時に井路舟にのって避難している写真があります。大人が16人くらい乗っているようです。

AIで着色化

白黒写真をAIで着色化してみました。多くのファクターがありますが、手前部分はかなり色濃いです。奥側の茶色っぽい溢れた水の色も洪水らしい感じが再現されています。

当時の井路川を巡る井路舟の写真も同様に着色してみました。「う~ん」といったレベルですけど。。

その他展示

井路舟もワクワクしましたが、駅構内にはもう一つ展示物がありました。「大阪モノレール美術館」と呼ばれ、各駅に芸術品があります。南摂津駅にあるのは、チリのアーティスト、プエルマ、エルナン(PUERMA, Ernan)が作成した資本家(Capitalist)と呼ばれる彫刻です。銅でできています。

乗っている自転車はロードバイクタイプ。スピードが出そうです。それになんと2人乗りしています。スキンヘッドにゴーグル(空気抵抗少なく、高速でも目を開けることができますね)ですが、コートを着ています。

後ろにのっている方は、大きなバッグを両手にそれぞれ一つ持っています。空気抵抗を少しでも減らすためか、前掲しつつも、バッグは後ろ側に回しています。

 資本家が何かから、一定程度の資本を無理やりバッグに積み込んで全速力でとんづらしているようです。私が思わず笑ったのは、以下3点で、まじかでみるとその他細部にわたって楽しいところがあります。

 ・ロードバイクに二人乗り、なぜかコートを着てる

 ・バッグを持っている、それも2つ。

 ・高速走行可能な前傾姿勢と空気抵抗を減らすためのバッグを後ろ側へ

もしこの駅で乗り降りする際は、時間許せば見てください。楽しいです。

大阪モノレール美術館について

説明ボードには以下のような記述があります。

大阪府では、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(愛称:enoco)を設置し、多くの人々が現代の美術に親しみ、様々な側面から楽しんでいただくための事業を展開しています。

 そのなかで、1990年~2001年にわたって開催しました国際現代造形コンクール・大阪トリエンナーレの入選作品や、関西の現代作家のの作品など、大阪府がこれまで収集してきた美術作品は、「大阪府20世紀美術コレクション」として収蔵するとともに、所蔵品展や美術作品の貸出しなどにより、府民の皆様に広く紹介しています。

 「大阪モノレール美術館」は、こうした大阪府の20世紀美術コレクションの中から、モノレール駅の構内にふさわしい作品を選んで展示したものです。

 さぁ、大阪モノレールに乗って、各駅の大阪府のコレクションを発見し、鑑賞する旅に出かけましょう

大阪府立江之子島文化芸術創造センター (enoco)

管理人はこうした美術・芸術については、素養・教養ゼロではありますが、少なくても今回訪れた南摂津駅にある「資本家」はとても楽しく鑑賞することができました。

なんだか、色んなことを連想できそうです。資本主義が全てにおいて最適であり、欠点も皆無というわけではないかと思いますが、今現在大多数の社会構成の軸になっているわけであり、その中でもロードバイクに2人乗りし、最速モードで走っていくこの資本家を戦っているのか、何かから逃げているのか、という2択で考えると後者でしょうか。

税制において企業側観点で法人税が安い国・地域に本社を置くことで、支払う税金を減らす取り組みは世界中どの会社もしていることですし、余剰利益を抑えるために、経費費用と多く計上したり、寄付したりする企業もあるでしょう。

この2人乗りの資本家はどんなこと企んでいるのか、そんな事を考えるきっかけとしては最高の芸術の一つだと思いました。

南摂津駅に設置される井路舟
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