Tableauを使って自治体毎の何かしのデータのヒートマップ作成時に、日本国内で同じ自治体名が複数ある場合は、単純な操作だけではTableau内で正しく表示できない場合があり、その対処方法について整理しました。
解決方法
まずは結論としてどうしたら良いか記述します。
- 自治体名は政令指定都市がある場合は、〇〇市〇〇区として自治体名を記載
- 「郡」がある場合は、〇〇群〇〇町、もしくは〇〇群〇〇村として自治体名を記載
- それらでもTableauが認識できなかった場合は、Tableau内の自治体選択用コンボボックスから選択
課題の整理
同名の自治体
日本国内の自治体には同名が少なからずあります。また市町村単位で異なれば区別できるものの、同じ読み方や異なる読み方であれ、表記が同様だと自治体名だけでみると間違えますね。
町村で同名自治体を列挙すると、このくらいあるようです。
小国町: 山形県西置賜郡 – 熊本県阿蘇郡
金山町: 山形県最上郡 – 福島県大沼郡
川崎町: 宮城県柴田郡 – 福岡県田川郡
清水町: 北海道上川郡 – 静岡県駿東郡
太子町: 大阪府南河内郡 – 兵庫県揖保郡
高森町: 長野県下伊那郡 – 熊本県阿蘇郡
南部町: 青森県三戸郡 – 山梨県南巨摩郡 – 鳥取県西伯郡
日高町: 北海道沙流郡 – 和歌山県日高郡
日野町: 滋賀県蒲生郡 – 鳥取県日野郡
美里町: 宮城県遠田郡 – 埼玉県児玉郡 – 熊本県下益城郡
美郷町: 秋田県仙北郡 – 島根県邑智郡 – 宮崎県東臼杵郡
美浜町: 福井県三方郡 – 愛知県知多郡 – 和歌山県日高郡
森町: 北海道茅部郡 – 静岡県周智郡
Tableauで登録されている自治体名称の違い
もう一つやっかいな問題は、Tableauで登録されている自治体名が異なる場合です。例えば、福岡県には「須恵町」という自治体があるのですが、この名称ではTableauさんは認識してくれず、「須惠町」と記載しないといけません。全国全ての自治体を試みたわけではないですが、福岡県下ではこのような課題がありました。
対象データ:福岡県自治体別の交通事故件数データ
今回の検証を行うにあたって、福岡県の自治体毎に整理されている交通事故件数のデータを使いました。交通事故件数のデータは福岡県警のこちらのサイトに掲載されています。
福岡県警察 交通事故統計資料 (pref.fukuoka.jp)
こちらの「令和5年 あなたの町の交通事故」(赤枠部)のデータを使いました。
Tableauでのヒートマップ表示までのプロセス
ダウンロードしたファイルはそのままTableauの読み込み先データとして使うことができません。ある意味丁寧な構成のエクセルですが、BIツールにてデータの利活用するにあたっては加工が必要となります。
具体的には以下のようなエクセルデータです。
なんじゃ、こりゃ~。政令指定都市の北九州市と福岡市です。区毎のデータが並んでいますが、どこからどこを使うか迷います。
次いで「市」、「郡」の町村の表示となりますが、こんな表記で並んでいます。(自治体名部のみ抜粋した図が以下です)
Tableau読み込ませ用のエクセルデータへ加工
自治体の市区町村名、死亡事故件数、重傷事故件数、軽傷事故件数へ整理するとこんな表となります。
(以下の表に、郡は入っていません。他県に同名の町や村がある場合は、郡を入れればOKです。)
政令指定都市含めた市区町村名 | 死亡事故 | 重傷事故 | 軽傷事故 |
北九州市門司区 | 1 | 8 | 301 |
北九州市若松区 | 1 | 13 | 248 |
北九州市戸畑区 | 2 | 15 | 223 |
北九州市小倉北区 | 4 | 29 | 1049 |
北九州市小倉南区 | 3 | 19 | 767 |
北九州市八幡東区 | 1 | 15 | 280 |
北九州市八幡西区 | 4 | 30 | 897 |
福岡市東区 | 3 | 34 | 1094 |
福岡市博多区 | 10 | 34 | 1271 |
福岡市中央区 | 5 | 29 | 846 |
福岡市南区 | 2 | 19 | 932 |
福岡市西区 | 1 | 33 | 811 |
福岡市城南区 | 1 | 15 | 266 |
福岡市早良区 | 3 | 14 | 582 |
大牟田市 | 1 | 11 | 260 |
久留米市 | 9 | 40 | 1273 |
直方市 | 1 | 10 | 215 |
飯塚市 | 2 | 10 | 528 |
田川市 | 1 | 9 | 227 |
柳川市 | 1 | 8 | 184 |
八女市 | 2 | 10 | 216 |
筑後市 | 0 | 3 | 227 |
大川市 | 0 | 4 | 112 |
行橋市 | 3 | 11 | 306 |
豊前市 | 0 | 0 | 64 |
中間市 | 2 | 7 | 148 |
小郡市 | 2 | 11 | 170 |
筑紫野市 | 1 | 5 | 369 |
春日市 | 1 | 22 | 539 |
大野城市 | 1 | 15 | 354 |
宗像市 | 3 | 12 | 236 |
太宰府市 | 2 | 4 | 305 |
古賀市 | 1 | 7 | 214 |
福津市 | 2 | 10 | 159 |
うきは市 | 2 | 5 | 65 |
宮若市 | 1 | 9 | 119 |
嘉麻市 | 1 | 11 | 87 |
朝倉市 | 3 | 6 | 139 |
みやま市 | 0 | 1 | 120 |
糸島市 | 3 | 8 | 265 |
那珂川市 | 1 | 7 | 204 |
宇美町 | 0 | 2 | 110 |
篠栗町 | 1 | 1 | 104 |
志免町 | 1 | 7 | 222 |
須恵町 | 1 | 2 | 100 |
新宮町 | 1 | 6 | 193 |
久山町 | 1 | 4 | 58 |
粕屋町 | 0 | 2 | 306 |
芦屋町 | 2 | 0 | 26 |
水巻町 | 0 | 7 | 109 |
岡垣町 | 0 | 0 | 77 |
遠賀町 | 0 | 3 | 67 |
小竹町 | 0 | 0 | 23 |
鞍手町 | 0 | 2 | 51 |
桂川町 | 0 | 1 | 37 |
筑前町 | 1 | 4 | 98 |
東峰村 | 0 | 1 | 2 |
大刀洗町 | 0 | 3 | 64 |
大木町 | 1 | 0 | 60 |
広川町 | 0 | 2 | 84 |
香春町 | 4 | 3 | 57 |
添田町 | 0 | 0 | 16 |
糸田町 | 0 | 0 | 26 |
川崎町 | 0 | 2 | 52 |
大任町 | 0 | 1 | 23 |
赤村 | 0 | 0 | 4 |
福智町 | 1 | 3 | 62 |
苅田町 | 0 | 8 | 229 |
みやこ町 | 0 | 1 | 63 |
吉富町 | 0 | 0 | 13 |
上毛町 | 0 | 0 | 14 |
築上町 | 1 | 4 | 49 |
Tableauでの交通事故件数でのヒートマップ表示まで
死亡事故、重傷事故、軽傷事故を合算する計算式を作成します。
自治体名のメジャーネームのデータを「地理的役割」ー「郡」を設定します。「市町村」などもあるので、それでもよかったのですが、〇〇群〇〇町、△△群△△村などもあるため、群で扱っています。
そして以下のようにヒートマップ表示をします。
マークの「詳細」に地理的役割のデータとして設定した自治体名のメジャーバリューを登録し、「色」に計算式で作成した交通事故件数の合計のメジャーバリューを設定します。
できた!と思いましたが、よく見ると色がついていない自治体が3エリアあります。
またマップの右下には、灰色背景で白字で「3個が不明」とあります。どうやらマッピングできない自治体が3つあるようです。
調べてみると、マッピングできていない自治体は、須恵町、広川町、川崎町であることがわかりました。困った困ったと色んなメニュー調べてみました。
「マップ」ー「場所の編集」、それらしい設定ですね。開いてみると、以下のようなサブウインドウが表示されました。
川崎町と広川町は赤字で、「あいまい」と表示されています。なぜだ、なぜだと思って調べてみると、どうやら同名の自治体が他にもあるため、自治体名だけではTableauさんは認識してもらえないようです。
福岡県にある広川町(八女郡)と同名の自治体名として、和歌山県にも広川町があります。また、川崎町についても、福岡県内の田川郡川崎町は、宮城県にも川崎町とあり、自治体名だけではバッティングしていました。
「あいまい」となっている自治体の場合
画面内の上部にコンボボックスがあります。
都道府県/州 のコンボボックスを触ってみると、
こんな画面が表示されました。
真ん中には、「三重県」がグレー表示されています、ひょっとして、ここを変更したらと思い、「固定」にカーソルをあわせて、コンボボックスを「福岡県」へ変更してみました。すると、「あいまい」と赤字で表示されていた自治体名がマッピングされたのか赤字表記がなくなりました。
残りは須恵町です。「認識不可」と表示されいたところをクリックすると、福岡県下の自治体名が今ボックスに表示されました。よってそこから選ぶこととしました。
糟屋郡須惠町がありました。これを選択すると、「認識不可」が解消されました。
なんと、お上のデータには、「須恵町」と表記されており、自治体サイトにも「須恵町」と表示されていますが、Tableauでは「須惠町」として文字データが扱われているため、一致しなかったものと思われます。「恵」と「惠」の違いでした。。。(一緒やろーが。。。)
気を取り直して、サブウインドウを「OK」を押して閉じると、3自治体にも着色されました。
今回、登録対象とした自治体は福岡県内の自治体でしたが、もし全国の自治体を全てヒートマップ表示しようとした場合にはまた別の課題があるかもしれませんが、局所的ではありますが、この記事がTableauユーザーの方にとって、わずかでもお役に立てば幸いです。以下、TableauのVIZも張り付けておきます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。今は政令指定都市内の各区がそれぞれ表示されていますが、一つの政令指定都市としてのマージなどについても次回以降取り組んでいきたいと思います。
本記事執筆時のTableau Publicのバージョンは以下の通りです。(2024.2.2)ですかね。