バブル崩壊後の日本は、失われた10年、20年、そして30年がとうに過ぎています。この間、平均年収が上がるわけでもなく、右肩上がりの業界は少なく、どの業界もなんとか現状維持、防戦一方といったところでしょうか。企業でいえばかつては、給料以外にも色んな厚遇施策や福利厚生がありましたが、どんどん削られていき、職場の先輩方は若かれし頃の会社の調子の良さを懐かしむ。一方で現状はその乖離により、士気も落ち厭戦気分が漂っているような会社、職場も少なからずあるかと思います。そんな先輩らがいる中で、20代、30代の方々はどのように映るのでしょうか。
優秀な方は正社員として採用されつつも、就職氷河期世代の方々は非正規雇用にならざるを得なかった方もいるでしょう。管理人は過去にわたって大学卒業者の就職率を調べてみることにしました。
【結論】卒業時の就職率は景気、若手求人率に依存
誰もがわかっているような事を改めて記述する点について、はばかるところありますが、やはりこれしかないと思っています。こればかりはどうしようもできないでしょう。もちろん、優秀な方は不景気、買い手市場の就職戦線の中にあっても採用される人もいるでしょうし、旧帝大をはじめ、私立の優秀な理系の大学院に所属している方は、(枠は好景気よりかは少ないですが)大学としての就職枠もあるでしょう。卒業を控える方々全般の率でいうと、当時の時勢や景気状況に左右されるのはもはや致し方ないかと思います。今の世代と比べて労せず就職でき、日本の成長とともに会社も成長し、良い時代を過ごしてきた先輩方が羨ましく思う時があります。
元号 | 西暦 | 就職率 大学卒 | 就職率 大学院卒 (修士) |
昭和25年 | 1950 | 63.8 | … |
26 | 1951 | 76.2 | … |
27 | 1952 | 81.0 | … |
28 | 1953 | 79.8 | … |
29 | 1954 | 80.3 | … |
30 | 1955 | 73.9 | 40.0 |
31 | 1956 | 73.2 | 45.5 |
32 | 1957 | 76.9 | 49.8 |
33 | 1958 | 77.4 | 50.1 |
34 | 1959 | 79.0 | 46.8 |
35 | 1960 | 83.2 | 51.4 |
36 | 1961 | 85.6 | 51.5 |
37 | 1962 | 86.6 | 50.5 |
38 | 1963 | 86.2 | 43.3 |
39 | 1964 | 85.6 | 46.4 |
40 | 1965 | 83.4 | 47.6 |
41 | 1966 | 79.9 | 51.0 |
42 | 1967 | 80.5 | 53.7 |
43 | 1968 | 81.7 | 56.6 |
44 | 1969 | 79.0 | 56.5 |
45 | 1970 | 78.1 | 56.4 |
46 | 1971 | 79.0 | 59.3 |
47 | 1972 | 75.7 | 59.1 |
48 | 1973 | 75.3 | 57.4 |
49 | 1974 | 76.9 | 61.6 |
50 | 1975 | 74.3 | 60.4 |
51 | 1976 | 70.7 | 55.1 |
52 | 1977 | 72.0 | 59.2 |
53 | 1978 | 71.9 | 61.8 |
54 | 1979 | 73.6 | 64.2 |
55 | 1980 | 75.3 | 63.8 |
56 | 1981 | 76.2 | 64.8 |
57 | 1982 | 76.7 | 66.1 |
58 | 1983 | 76.4 | 67.1 |
59 | 1984 | 76.7 | 69.4 |
60 | 1985 | 77.2 | 69.5 |
61 | 1986 | 77.5 | 69.8 |
62 | 1987 | 77.1 | 70.1 |
63 | 1988 | 77.8 | 70.6 |
平成元 | 1989 | 79.6 | 72.2 |
2 | 1990 | 81.0 | 73.0 |
3 | 1991 | 81.3 | 72.7 |
4 | 1992 | 79.9 | 71.2 |
5 | 1993 | 76.2 | 69.4 |
6 | 1994 | 70.5 | 68.3 |
7 | 1995 | 67.1 | 67.3 |
8 | 1996 | 65.9 | 66.7 |
9 | 1997 | 66.6 | 67.9 |
10 | 1998 | 65.6 | 67.2 |
11 | 1999 | 60.1 | 64.9 |
12 | 2000 | 55.8 | 62.9 |
13 | 2001 | 57.3 | 65.4 |
14 | 2002 | 56.9 | 66.4 |
15 | 2003 | 55.1 | 64.5 |
16 | 2004 | 55.8 | 65.8 |
17 | 2005 | 59.7 | 67.7 |
18 | 2006 | 63.7 | 70.0 |
19 | 2007 | 67.6 | 72.5 |
20 | 2008 | 69.9 | 75.1 |
21 | 2009 | 68.4 | 74.8 |
22 | 2010 | 60.8 | 71.4 |
23 | 2011 | 61.6 | 72.6 |
24 | 2012 | 63.9 | 73.3 |
25 | 2013 | 67.3 | 73.7 |
26 | 2014 | 69.8 | 74.4 |
27 | 2015 | 72.6 | 76.2 |
28 | 2016 | 74.7 | 77.5 |
29 | 2017 | 76.1 | 78.2 |
30 | 2018 | 77.1 | 78.5 |
令和元 | 2019 | 78.0 | 78.6 |
実際には、大卒予定者の有効求人倍率なども含めて整理する必要ありますが、事実としてまずはこの情報から掲載したいと思います。
戦後の昭和世代
戦後は、旧制高等学校だった学校が法改正により大学となり、大学数そのものが増えたとはいえ、まだ今ほど多くはありませんでした。また大学進学率もそこまで高くなかったことに加え、それでもあえて大学に進学する方々は平均以上に優秀な方々であり、苦学生もいたかと思いますが、金銭的にも余裕があった家庭の方々でしょう。そして戦後の復興、日本が大きく成長する時代で、就職するにもたくさんの選択肢があったといえます。
昭和25年から63年まで38年間での大卒者平均就職率は、77.7%とこの資料からは読み取れます。
平成世代-バブル景気-氷河期を経て
平成の30年間での大学卒業者の平均就職率は67.6%となっています。昭和のそれと比べて低いですが、平成はまさに売りて市場からはじまり、売り手市場に終わっり、その間の就職氷河期は鍋の底のような状態で、本来ならばそこそこの会社に就職でき、一定の年収を得て家庭を築くべき世代は、就職がかなわず、非正規雇用のまま賃金が上がらず、不安定な状況下にある方々が多いといえます。
2000年(55.8%)そして2003年(55.1%)をボトムに持ち直しつつも、2008年9月からのリーマンショックにより、その後の3,4年間がまた冷え込みます。
日本でいえば、旧民主党から自民党へ政党が変わったあたりから景気状況が回復して今日にいたっているといえます。
バブル期(1988年から1992年)の恩恵を受けた新卒者は、戦後の平均値を超える80%の就職率です。このときは高校卒、短大卒、専門学校卒とあらゆるカテゴリの方々が今と比べて苦労少なく、その恩恵を受けていたかと想います。バブルの好景気時に入社した最後の方々が、1993年4月入社組の方々です(1992年度に内定)。よって、2020年11月現在時点で、大卒者で53歳前後から49歳前後の方々はその年代の方でしょう。会社にもこの年代の方々が他の年代の平均数よりも多いのは、企業がその期間に通常時以上の人数を積極的に採用していた恩恵を受けていた方々です。6人に1人が上場企業に入社できた、派手な内定式等、その年代の先輩方に昔の話を聞くと、当時を振り返りつつ1,2時間はいろいろ話してくれるでしょう。
一方で就職氷河期に卒業を控えた学生は、企業の経営が苦しく、新卒者を新規に採用する余力乏しく、採用を絞っていた時代です。それでも狭き門に大学卒業予定者の方々は頼らざるをえなく、採用する企業は買い手市場となり、大学、エントリーシート、筆記試験、面接等でハードルが高くなります。圧迫面接、という言葉が出たのもこのあたりからでしょうか。
自分が生まれた年、社会全体の景気動向までは自助努力ではどうしようもない点でしょう。もちろん景気に関係なく優秀な方は就職できるのは間違いないですが、願う就職が出来なかった人たちであっても、世代さえ異なれば就職できていたかと思うと、複雑な思いです。
企業の平均年齢を見ると、このバブル時採用世代が比較的多い企業の場合、45歳を超えているような企業であれば、この世代が非常に多い会社となります。
オーソドックスな会社の仕組みでいえば、60歳定年を迎えた方は、一旦会社を退職し、その後再雇用ということで継続して働いている方もいるかと思います。経営者観点では、すでに給与水準が高い社員全員を60歳以降も継続して雇うのは避けたい点もあるでしょう。もちろん中には継続して高給にて引き続き会社の経営発展に力添えください、と経営者がお願いして継続雇用を申し出たいような優秀な方もいるのは間違いないです。一方で、新規学習の受け入れキャパが乏しく、体力・気力のパフォーマンスが落ちた60歳前の方を同じ給与水準で雇い続けるよりかは、馬力・体力もあって、頭も柔らかく、少なくても60歳前の社員よりかは安い給与水準で頑張ってくれる若手世代を採用したほうが良い、と考える経営者もいるでしょう。今後各企業の制度がどのように変わるかについても興味がありますね。継続した仕事による知見、経験が活き、容易に真似されない良い意味での属人的なノウハウがある方や、新規学習にも躊躇なく臨機応変に動くことができる方は重宝されるでしょう。しかし、そうではない仕事の場合、置き換えリスクが高いため、その仕事を継続してできるかどうかはまさにタイミングや運もあるでしょう。代替技術に置き換えられてしまったり、システム化され不要になるリスクもあるがゆえに。。。
自分を磨き続けるほかなし
昔とった杵柄で、ずっと仕事し続けることができるのは恵まれた職種だとも言えるでしょう。もちろんどんな職種・職能であっても時代に応じて色んな変化をしていく必要あるかと思います。管理人が考えている点は、とにかく自分を磨き続けるほかないと思っています。磨いていると思っていたら、全然磨けておらず、役に立たないことに頑張ってしまうこともあるかと思いますが、今の仕事だけに満足せず、とにかく会社の仕事であっても、会社外の何か自分の趣味、得意分野を磨き続けていけば、それに対して価値を認識し、対価なり評価をしてくれる方の目にとまるよう精進していこうと思っています。
非常に抽象的なモノの捉え方ですが、上のデータなどをからこのブログを読んだ方々に少しでも何かしの気づきがあれば、それだけでうれしく思います。