パナソニック:創業者理念を裏切る「1万人リストラ」の経営無能

2025年5月9日、パナソニックホールディングス(HD)が国内外合わせて1万人の大規模人員削減を発表しました。営業利益4,000億円超の黒字企業が、従業員の5%に当たる大量解雇を実行します。この決断は、創業者・松下幸之助の「人を大切にする経営」という理念に真っ向から反するものであり、現経営陣の無能さを露呈していると考えています。

恒例行事と化したリストラの歴史

過去25年間で4回目の大規模削減

パナソニックのリストラ歴史を振り返ると、その常習性に呆れるばかりです。2001年のITバブル崩壊時に1万3,000人、2008年のリーマンショック後に1万5,000人、2011年の三洋電機統合時には実に3万5,000人の大量解雇を実施してきました。

今回で4回目となる大規模リストラは、もはや企業の「伝統行事」と化していると言わざるを得ません。これほど頻繁に人員削減を繰り返す企業が、果たして健全な経営と言えるのでしょうか。

大規模のものでいえば、上述したところありますが、パナソニックグループ全体の色んな会社、個々の事例であれば、こうしたリストラの事実は非常に多くあるのが実情です。1000人を割るような個別事業部や小さな会社、地方の工場などの閉鎖など枚挙にいとまがありません。

「またか」と嘆く現場の声

社内からは「またか」という落胆の声が聞こえてきそうです。2021年にも楠見雄規社長就任後初の早期退職制度を実施したばかりで、わずか4年での再リストラです。従業員の心理的安全性など、もはや存在しないと思われます。

構造改革の名の下に繰り返される人員削減は、単なる経営の無策を「改革」という美名で覆い隠しているに過ぎないと考えています。

創業者である松下幸之助の理念への背信行為

「事業は人なり」の完全否定

創業者である松下幸之助さんは「松下電器は人をつくるところでございます。併せて電気製品も作っております」と明言していました。人材育成こそが企業の使命であり、社員は社会からの預かりものだと考えていた創業者の哲学は、現経営陣によって完全に踏みにじられていると思っています。

「事業は人なり」「企業は人を中心として発展していく」という創業理念は、もはや博物館の展示品でしかないように感じられます。

雇用確保への創業者の執念

松下幸之助さんは戦前戦後の混乱期においても、可能な限り雇用を維持しようと奔走しました。昭和4年の世界恐慌時にも「困難な時こそ人を大切にする」姿勢を貫いた創業者の精神は、現在のパナソニックのどこにも見当たりません。

リストラに何も今回に始まったわけではなく、創業者が亡くなれた後、凡夫的な経営者によって過去にも幾度も実施されてきました。前社長だった都賀氏は、「普通の会社ではない」という表現にしたことがありましたが、リストラを常態的に実施するという観点では30年前から「普通の会社」と言えるのかもしれません。

しかし悲しいのは、創業理念を企業の看板に掲げながら、その真逆の経営を平然と行う。これほど恥知らずな背信行為があるでしょうか。経営者の厚顔無恥にはすさまじしいものがあります。ある意味、面の皮が厚くないと務まらないのでしょう。そういう観点では、常人ならぬ胆力があると思っています。

楠見経営陣の無能ぶり

30年間成長できない無能ぶり

楠見雄規社長は「30年間、成長できていない」と自ら認めていますが、これは経営陣の能力不足以外の何物でもないと考えています。30年間も低迷を続ける企業の社長が、なぜ居座り続けることができるのか理解に苦しみます。

競合他社のソニーや日立製作所が大幅な改革を成功させている中、パナソニックだけが「改革は10年遅れ」と言い訳に終始しています。これは明らかに経営陣の戦略眼の欠如であると思われます。

販管費率25.6%の異常さ

楠見社長が認める通り、パナソニックの販管費率は25.6%と同業他社の18-19%を大幅に上回っています。ソニーより7%、日立より6%も高いこの数字は、経営効率の悪さを如実に表していると考えられます。

これほど非効率な経営を放置してきた責任は、間違いなく歴代経営陣にあります。にもかかわらず、そのツケを従業員に押し付ける姿勢は卑劣極まりないと思っています。

Blue Yonder(ブルーヨンダー)買収の後始末

8,500億円もの巨額を投じたブルーヨンダー買収も、今となっては重荷でしかないように思われます。M&Aで成長を目指すと豪語しながら、結果的に固定費を増大させ、今回のリストラの一因を作ったと考えられます。

高値づかみの買収で借金を増やし、その穴埋めに従業員を犠牲にする。これが現代のパナソニック経営陣の手法だと思っています。

就職氷河期世代が見る経営の現実

責任回避の常套手段

私は就職氷河期世代として、この手の経営手法には辟易しています。バブル崩壊後、数多くの企業が「構造改革」の名の下に大量解雇を繰り返してきました。困ったらリストラ、という安易な発想は、経営者の思考停止そのものだと考えています。

真の経営者なら、人員削減に頼らない成長戦略を描くべきです。それができない者は、経営者失格と断じるほかないと思っています。

コストカットの錯覚

楠見社長は人員削減で700億円の収益改善を見込むと豪語していますが、これは一時的な帳簿上の改善に過ぎないと考えられます。優秀な人材の流出、組織のノウハウ喪失、残存社員のモチベーション低下といった中長期的損失は計り知れません。

むしろ、競合他社への人材流出により、自社の競争力をさらに削ぐ結果となるでしょう。

人手不足時代の逆行経営

売り手市場での愚策

現在の日本は深刻な人手不足に陥っており、多くの企業が優秀な人材の確保に奔走しています。そんな売り手市場の中で、1万人もの大量解雇を実行する企業に、果たして優秀な人材が集まるでしょうか。

パナソニックのこの決断は、人材獲得競争における完全な敗北宣言であると思われます。

従業員エンゲージメントの破綻

「また解雇されるかもしれない」という不安を抱えた従業員が、果たして高いパフォーマンスを発揮できるでしょうか。従業員エンゲージメントの向上が企業成長の鍵とされる現代において、パナソニックの経営方針は時代に完全に逆行していると考えられます。

リストラコストという隠れた真実

1,300億円の構造改革費用

今回のリストラには1,300億円の構造改革費用が計上されます。解雇にこれほど巨額のコストが必要だという事実は、リストラがいかに非効率な手段かを物語っていると思います。

この1,300億円があれば、新規事業開発や技術革新に投資できたはずです。それを人員削減に使うという発想自体が、経営センスの欠如を表していると考えています。

早期退職制度の裏側

「特別キャリアデザインプログラム」という美名で包装された早期退職制度も、実態は会社都合の解雇であると思われます。退職勧奨を拒否した従業員への圧力や、優秀な人材の意図しない流出など、この制度の弊害は計り知れません。

この会社に就職して大丈夫なのか?

新卒採用への影響

これからパナソニックを志望する学生は、この現実をどう受け止めるべきでしょうか。4年に1度大量解雇を繰り返す企業で、安定したキャリアを築けると考える方が無謀であると思います。

就職活動中の学生には、創業理念と現実の経営のギャップをしっかりと見極めることを強く勧めます。

中途入社のリスク

中途入社を検討している方も同様です。表面的な企業ブランドに惑わされず、リストラ常習企業の実態を冷静に判断すべきだと考えています。特に管理部門や間接部門への転職は、極めて高いリスクを伴うと思われます。

結論:経営者の無能が招いた必然

パナソニックの1万人リストラは、決して外部環境の変化や不可抗力によるものではありません。30年間にわたる経営陣の無能が招いた必然であると考えています。

創業者・松下幸之助が築いた「人を大切にする経営」という貴重な企業文化を、現経営陣は完全に破壊したと思っています。この背信行為は、企業経営史上の汚点として永く記憶されるでしょう。

楠見社長は「雇用に手をつけることは忸怩たる思いだ」と表明しましたが、本当に申し訳ないと思うなら、自らが経営の座を降りるべきだと考えています。無能な経営者が居座り続ける限り、パナソニックの迷走は続くでしょう。

松下幸之助さんが生きていたら、現在の経営陣に何と言うでしょうか。「君たちは企業経営の何たるかを全く理解していない」と一喝するに違いありません。創業者の理念を踏みにじる経営陣こそが、パナソニック最大の不良債権なのだと思っています。

短期的に帳簿上の数字はよくなるでしょうが、数年経つとまたリストラやら事業譲渡、工場閉鎖、拠点閉鎖のニュースが世に出てくるでしょう。少なくても過去全てその路線でしたので

最後に

人を活用しきれず、黒字でありながら、人財不足といえるこのタイミングで人をリストラするというのは創業者の理念とは逆行するものです。「経営者が存命だった時と時代が違う」という反論もあるやと思いますが、創業者が存命だったときとも振り返って、整理してみたいと思います。

日本は30年成長できていません。それは政治家が悪いのか、官僚が悪いのか、他責にしよと思えばいくらでもできるでしょう。しかしそんな中にあってもより良い経営をしている会社もあり、少しでもそういった会社の良いエッセンスに倣い、リストラをしない方法にて成長してくれる会社であることを切に願っています。かつて身を置いていた一人として。。。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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